炎症性腸疾患グループ

炎症性腸疾患グループは2008年4月に新設され、創設11年を迎えました。患者数の増加、疾患の知名度の上昇と共に人気が高まっているのか、実習が楽という噂が流れているのか、学生の実習希望人気ナンバーワンとなっています。

炎症性腸疾患グループ紹介

炎症性腸疾患グループは2008年4月に新設され、創設11年を迎えました。患者数の増加、疾患の知名度の上昇と共に人気が高まっているのか、実習が楽という噂が流れているのか、学生の実習希望人気ナンバーワンとなっています。
グループ員の近況ですが、まずは新人として、釧路ろうさい病院から大学院1年目として桜井健介先生に来て頂きました。野球で鍛えた体力、集中力を発揮し、現在新しい知識、手技をぐんぐん吸収しているところです。研究の準備を進めつつ、夏には臨床修行として東徳洲会病院IBDセンターで勉強させて頂くことも決まっており、まさに若手のホープといったところです。

長島一哲先生は、先端生命科学研究院 綾部時芳教授との共同研究を行い、無事に学位論文をまとめ卒業致しました。現在北海道医療センターに勤務しており、札幌市内勤務となったため引き続き研究に関わってもらえるように手続きを進めております。

山梨香菜先生は「抗菌薬3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療」が治験終了となったため、現在データの解析、論文化を行っているところです。また、エコー室西田教授の御指導のもと、「クローン病における体外式腹部超音波検査有用性の検討」を立ち上げ、こちらもデータの解析、論文化に進んでいる段階となっています。

小田切信介先生は、北見赤十字病院に月に一度応援診療に継続して行かせて頂きながら、IBDの臨床面ではエース級へと力を付けてきています。研究面では大西俊介先生のもと羊膜由来間葉系幹細胞の研究に取り組み、中間発表も無事進んでいると思われます。

大西礼造先生は、東苗穂病院で臨床医として活躍しながら、客員臨床講師として引き続きの連携、指導を頂いており、IBDに関わる研究会などにも積極的に参加頂いています。

グループリーダーの桂田は「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(鈴木班)に研究協力者として参加し、医局を超えた北海道全体の、将来的には全国のIBD診療のまとめ役を目指して日々活動を継続中です。また、2015年度から3年間、日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進研究事業に「抗菌薬3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療」が北海道大学病院を代表施設として採択され、研究代表者を務めました。

2013年2月から北海道大学病院消化器内科IBDセミナーと称して、北大式IBD診療のエッセンスについて各関連病院を回って講演させて頂いています。2019年5月の段階で既に40回を数えます。各関連病院の先生方には御礼申し上げると共に、引き続き同門の先生方御支援宜しくお願い致します。

患者さん、家族向けの交流、情報提供の場として始めたIBD教室も2019年で10回目となる予定です。桂田自ら潰瘍性大腸炎患者で入院加療を受けた経験を元に、患者、医者の両方の立場から企画、進行を担当させて頂き好評を得ております。

炎症性腸疾患というと主に潰瘍性大腸炎とクローン病を指しますが、両疾患ともに患者数は急激な増加傾向を示しています。我々はこの2疾患を中心に診療を行っておりますが、血球成分除去療法(GMA)、抗TNF-α抗体 (インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)、免疫調節薬(アザチオプリン、タクロリムス)といった専門的治療に加えて、さらに新しい5-ASA製剤(リアルダ)、ステロイド剤(ブデソニド徐放カプセル、ブデソニド注腸フォーム剤)、新規抗体製剤(ゴリムマブ、ウステキヌマブ)、JAK阻害薬(トファシチニブ)、α4β7インテグリン阻害薬(ベドリズマブ)と、次々と新たな治療の選択肢が増え治療体系も複雑化してきています。若い患者さんが多いのがこれらの疾患の特徴であるため、我々の治療次第で患者さんの人生が変わりうることを意識し、患者さんの病態のみならず社会的背景にも配慮した治療を常に心掛けています。また、多彩な全身合併症も特徴の疾患にて、総合病院として他科との連携を密に取り、専門機関として集学的治療を行えるのが当院のメリットと思います。

今後は関連病院ともさらに連携を深め、北海道全体の炎症性腸疾患診療の普及に努めて参ります。加えて研究機関として臨床の現場で抱いた疑問や展望を基礎医学的な手技を用いて解明し、教育機関として若手医師、学生の育成にも力を注ぎ、グループとしてますます発展していきたいと考えております。また、北海道全体のIBDコホート研究グループ(Phoenix Cohort Group:札幌医大、北大、旭川医大、札幌厚生病院、東徳洲会病院、札幌徳洲会病院)にも参加し、ALL北海道としてのエビデンス構築、情報発信にも寄与して参ります。

臨床研究・治験

  • 卵膜由来間葉系幹細胞を用いた炎症性腸疾患に対する新規治療法の開発(組織再生幹細胞研究グループとの共同研究)
  • 抗菌薬3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療(AMED-17lk0201036h0003)(治験終了)
  • クローン病におけるMR enterocolonographyによる治療最適化についての研究(東京医科歯科大学との共同研究)
  • 炎症性腸疾患患者の細胞を用いたエンテロイドの作成(先端生命科学研究院綾部教授との共同研究)
  • 微生物叢がもたらす免疫チェックポイント阻害薬関連大腸炎・肝炎発症機構の解明
  • クローン病における体外式腹部超音波検査有用性の検討

文責:桂田 武彦(2019.4)