胆膵グループ

はじめに

胆管や膵臓は,体の中心部に近く,内視鏡的なアプローチが難しいという臓器部位の特性を有すると同時に,疾患に関する認識や知識がまだまだ乏しい臓器群であり,胆膵領域というカテゴリーに分類されます.診断,治療ともに大変難しい領域であり,いかに早期に病気を発見し治療につなげていくか,いかに癌の治療成績を向上させていくかが大きな課題となっています.癌の死亡数を臓器別にみた場合の2017年の順位は,膵は4位,胆道(胆管と胆のう)は6位と年々その数も増加しています.
胆膵領域は診療科の垣根を越えた総合的な診療が特に重要であり,最善の診断・治療を行うべく,わたしたちは日夜努力と研究を重ねています.特に,治療を安全かつ確実に継続させるためには,想定されうるイベントやトラブル(特に,膵炎,黄疸や胆管炎)への十分な予防対策と迅速な対応が肝要であり,グループが一丸となって高い意識と志を持って臨んでいます.
以下に,外来診療とセカンドオピニョン診療に関するURLを掲載いたします.ご参照ください.

グループ紹介

2016年4月に桒谷 将城(くわたにまさき)をグループ長とする新体制となってから,2019年4月で4年目を迎えました.3月には無事に杉浦 諒が医学博士号を取得し,4月から新天地の市立函館病院へ赴任となりました. また,中島 正人は札幌市内の関連病院への赴任となりました.現在の胆膵グループのメンバーは,桒谷 将城(病院助教),の1名のスタッフのほか,加藤 新(大学院4年),平田 幸司(大学院4年),平田 甫(大学院2年)の3名の大学院生に新たな2人のメンバー,古川 龍太郎(大学院2年)と瀧新 悠之介(大学院2年)を加えた計6名です.外来診療は,桒谷を中心に,加藤,平田幸司を加えた3名で行っています.病棟はメンバー全員によるチーム医療を行っています.
また,これまでの胆膵グループからの卒業生が,札幌をはじめ,札幌以外の道内各地(函館,苫小牧,岩見沢,釧路,北見)でも活躍し,大学の胆膵グループと連携しながら広大な北の大地における胆膵疾患診療を担っています.

臨床分野

全ての胆膵良悪性疾患を対象に診療していますが,大学病院の特性として,診断困難症例や悪性腫瘍を中心に診療を行っております.超音波内視鏡検査 (年間約350例),内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (関連手技との合計年間約400例) や胆道癌の術前には欠かすことのできない内視鏡的胆道ドレナージ (年間約300例)を中心に,黄疸や胆管狭窄の原因診断,胆管癌の進展度診断に力をいれています.
また,膵腫瘍や縦隔腫瘍,後腹膜腫瘍や消化管粘膜下腫瘍に対する病理学的診断には欠かすことのできないコンベックス型超音波内視鏡を用いた超音波内視鏡検査下穿刺生検 (EUS-FNA) (年間約150例) も積極的に行っています.最近では経乳頭的胆道生検によっても診断困難な胆道疾患例に対しても行うことが可能となっています.EUS-FNAにより得られた検体からは,膵腫瘍をはじめとした穿刺対象となった疾患に対する遺伝子的アプローチも可能である時代になっています.当グループからもすでに膵癌や膵腫瘍に加えて胆道腫瘍に対する遺伝子診断の研究成果を発表しております.
癌性疼痛に対する超音波内視鏡下神経叢/神経節ブロック (EUS-CPN/CPB),術後膵液瘻や経乳頭的アプローチが困難な閉塞性黄疸に対する超音波内視鏡下ドレナージ術等の最先端の超音波内視鏡下治療も施行しています.
臨床研究に関しては,当科主導の多施設共同研究を主体に,全国規模の臨床試験への参加も含めて多数行っています.また,再生医療グループとも連携しながら,重症膵炎予防や硬化性胆管炎治療のための動物実験もおこなっています.世の診療における新たなエビデンスの創出を目指して,質の高い研究の遂行とともに患者さんの利益への貢献を追及していきたいと考えています.

現在進行中の臨床研究

<当院主導>

  • 切除可能膵癌に対する術前ゲムシタビン ナブパクリタキセル療法の第II相臨床試験
  • 胆管狭窄に対する初回経乳頭的胆道ドレナージに伴う膵炎発症への内視鏡的乳頭括約筋切開術の影響
  • 初期画像検査陰性の総胆管結石の診断における超音波内視鏡の有用性の検討:多施設共同非ランダム化非盲検探索的臨床試験
  • 閉塞性黄疸患者における胆道ドレナージ術前後の超音波Dispersion slope値変化についての検討
  • 超音波内視鏡下穿刺吸引生検/細胞診を用いた胆道癌術前のリンパ節転移評価の有用性の検討

<他施設主導>

  • 非切除悪性肝門部領域胆道閉塞に対する姑息的ドレナージ法に関する金属ステント対インサイドプラスチックステントの無作為化第II/III相臨床試験
  • 分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の前向き追跡調査(多施設共同研究)
  • 中下部胆道閉塞を伴う切除不能膵がんに対する10mm径および14mm径金属ステントの無作為化比較第Ⅲ相試験
  • 10mm未満膵嚢胞性病変の多施設前向き研究
  • Borderline Resectable 膵癌を対象とした術前ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法と術前S?1併用放射線療法のランダム化比較試験
  • 自己免疫性膵炎の前向き追跡調査
  • 慢性膵炎の前向き追跡調査

基礎研究/橋渡し研究分野

大西俊介准教授を中心とする再生医療グループとともに羊膜由来の間葉系幹細胞を用いた再生医療に関する研究と蛍光イメージングに関する研究を中心にこれまで行い,現在,加藤医師は,動物モデルを用いた膵炎治療研究を行っています.それとは別に,平田幸司医師は,FNA検体や胆管生検検体を用いて,遺伝子解析による研究を継続して行い,平田甫医師は,薬学部との共同研究により,新たな光免疫治療開発に関する研究を行っています.
桒谷は,放射線科の医師とともにCT灌流画像を用いたERCP後膵炎発症の早期予測に関する研究を行っています.

現在進行中の基礎研究/橋渡し研究

  • 間葉系幹細胞を用いた膵炎治療の研究
  • 間葉系幹細胞を用いた原発性硬化性胆管炎治療の研究
  • 内視鏡的逆行性胆管造影下胆道鉗子生検検体を用いた胆道癌ゲノム解析の研究
  • CT灌流画像を用いたERCP後膵炎発症の早期予測に関する研究

医療関係者の皆様へ

胆膵領域診療はいまだ発展途上にあり,ERCP/EUS関連手技は高いスキルとリスクが隣り合わせであると言えます.診断・治療が困難な状況,症例は多々あることと思います.大学と関連病院,一般病院が連携しながら,そのような苦難を一つ一つ乗り越えていくことが,お互いの発展と患者さんへの利益の還元につながると考えています.ご遠慮なく,ご相談,ご紹介いただきたいと思います.

<連絡先>
12-2 病棟直通電話(011-706-5795/5796)
12-2 病棟CR用FAX(011-706-7999)
地域医療連携福祉センター(電話番号:011-706-6037,FAX番号:011-706-7963)

文責:桒谷 将城(2019年5月)