坂本教授よりご挨拶

消化器内科の新体制は4年目を迎えた。この1年はあっという間に過ぎた感があるが、その間にも様々な活躍と業績のあった年であった。相変わらず大学スタッフの人手不足の中で、献身的な努力には頭が下がる。

人事

2015年度、医学研究科の人件費ポイントを大学病院教員スタッフに使用することにより、助教、講師をそれぞれ講師、准教授に昇格させる制度がつくられ、大学病院所属の教員から、論文、研究費獲得業績を基準に選考が行われた。当科からは河上洋助教が論文業績(Impact Factor: 143.01)と公的研究費取得額から講師に昇格した。また、今年度から学生教育に特化した教育助教が5人総説され、川久保和道が教育助教として科目横断的な学生教育担当となった。

研究活動

2015年9月、骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(MSC)が、厚労省の薬事・食品衛生審議会に承認され国内初の再生医薬品が誕生し、いよいよ再生医療の時代が到来した。当科でも大西講師の率いる羊膜由来間葉系幹細胞(MSC)の臨床への橋渡し研究は、北大病院の臨床研究中核拠点事業として、また文部科学省の橋渡し研究加速ネットワークプラグラムの重点課題として順調に進行している。対象疾患も肝硬変、炎症性腸疾患、膵疾患へと広がり、PMDAとの対面相談が進められ、臨床への足取りが加速している。小川浩司助教は、肝硬変に対するVitamin Aリポソーム-HSP47 siRNAによる抗線維化遺伝子治療の日本初の第1相治験を担当しており、驚くべき成果が得られている。
昨年度の大ニュースの一つは、炎症性腸疾患グループの桂田武彦助教が、AMED(日本臨床研究開発機構)で推進している臨床研究・治験推進事業「抗菌剤3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療」の班長に選ばれたことである。これまでの旧厚労省班研究事業の班長のなかでおそらく史上最年少である。その他、各専門グループから今年、臨床、基礎研究に関する計38本の英文論文が出版されており、研究の取り組みが着実に実を結びつつある。

診療活動

当科の固有病床は12-2病棟、2-2病棟合計で44床であるが、年間平均病床稼働率は97.7%と常にフル稼働の状況である。平均在院日数も10.1日と診療科の中で飛び抜けて短い。当然ながら消化器内科は病院の高収益部門であり、病院全体の売り上げの約7%を占める。そのような状況で、2015年度当科は病院経営に関わる3つの評価項目、診療報酬請求実績額(1位)、限界利益達成率、およびレセプト査定率改善率(3位)で実績が評価され、それぞれに対するインセンティブ経費を獲得した。スタッフの日々の努力の賜物である。

学生教育

今年度から消化器内科臨床実習が、2週間になり、バラエティに富んだ当科の臨床を十分に体験してもらうことができるようになった。また、毎回数人の学生には2週目に関連病院に派遣し指導をしていただいているが、特に院外実習では、急性疾患やプライマリ・ケアの実際を、第一線の臨床の先生方と体験できたと極めて評判がよい。関連病院の方々には多大なご負担を引き受けていただき、頭が下がる思いである。

新専門医制度

2017年度から、内科を含む基本19領域の新専門医制度が稼働する。それに伴い5年間の内科研修に必要な専門症例数を含めた研修カリキュラムが設定され、必要な全内科領域の症例を広く主治医として経験することが必要となる。大学は研修基幹施設となり、連携施設(現教育関連病院)とともに内科専門研修プログラムを組織し研修を行う。北大では7つの内科が連携したひとつの専門研修プログラムを設定するべく準備が進んでいる。当面、各施設の構成要件に必要な総合内科専門医を増やす必要があり、大学、関連病院スタッフには原則全員の取得をお願いしたい。

新人

何より嬉しいのは2014年度なんと13人が当科の新メンバーに加わってくれたことである。西澤竜矢先生(H19卒)、重沢拓先生(H23卒)、滝新悠之介先生(H24卒)、平田甫先生、中野真太郎先生、田中一光先生、吉田将大先生、山田錬先生、井上雅貴先生、永井孝輔先生、伊藤憲先生、二瓶壮史先生、小田切信介先生(以上H25卒)。2015年度も12人の入局者を迎えた。 宮本大輔先生(H11卒)、加藤新先生(H16卒、大学院入学)、高橋徹先生(H25卒)、北潟谷隆先生、山村貴洋先生、更科耕一郎先生、得地祐匡先生、鈴木茉理奈先生、斎藤里佳先生、霜田佳彦先生、松田宗一郎先生、細田俊一先生(以上H26卒)。多くの人は学生選択実習、研修医で当科の研修を経験した人たちであり、今後に大いに期待したい。

今後も教室一丸となって、日本に、世界に情報発信する教室となるようNext Stepにつなげていきたい。同門会を始め諸先生の皆様には引き続きご鞭撻を説にお願いする次第である。