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安孫子先生の論文が、Acta Gastro-Enterologica Belgicaにアクセプトとなりました

論文タイトル Risk-stratified evaluation of prophylactic strategies for delayed bleeding after gastric ESD: a multicenter retrospective study on clipping efficacy in the low-risk category
受理日 2026年4月12日
Authors Satoshi Abiko, Kenji Kinoshita, Hisashi Oda, Kazuteru Hatanaka, Yoshiya Yamamoto, Hirohito Naruse, Takuto Miyagishima and Naoya Sakamoto.
雑誌名 Acta Gastro-Enterologica Belgica
コメント 胃ESD後の遅発性出血に関する研究が、このたびアクセプトされました。
本研究では、胃ESD後の遅発性出血予防戦略について、BEST-Jスコアによるリスク層別化を用いて検討しました。我々が行っているmodified search, coagulation, and clipping(MSCC)法および、ポリグリコール酸シートとフィブリン糊を併用したPMSCC法の有効性を、市立函館病院および釧路労災病院の303例の後ろ向きデータを用いて評価しています。
その結果、低リスク群においてはMSCCにより遅発性出血は認められず、信頼区間上限も閾値を下回っており、シンプルかつ有効な予防戦略であることが示唆されました。一方で、中間リスク群では明確な結論には至らず、高リスク群においてはMSCCおよびPMSCCのいずれにおいても十分な予防効果は得られませんでした。
本研究は、遅発性出血予防において一律の対応ではなく、リスクに応じた戦略の重要性を示すものであり、特に低リスク症例に対しては簡便でコスト効率の高いMSCCが有用である可能性を示しました。一方で、高リスク症例に対しては、さらなる予防手技の開発や工夫が必要であると考えています。
今回の研究を通じて、日常診療の中で積み重ねてきた工夫を、リスク層別化という形で整理し、一定のエビデンスとして提示することができました。現在、ESD後潰瘍底に対する縫縮などの新たな手技についても実臨床においてその有用性が示唆されており、今後はより高リスク症例に対する戦略の確立に向けて、これらを含めたさらなる検討を進めていきたいと考えております。
多くの苦労を重ねながら施行してきた、釧路労災病院から市立函館病院に至る6年間の胃ESDの成績を、このたびまとめることができました。一例一例が思い出され、大変感慨深いものがあります。
本研究にご協力いただきました市立函館病院および釧路労災病院の先生方、両施設の内視鏡室・外来・病棟スタッフの皆様、坂本先生に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
(北海道大学病院 安孫子怜史)