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安孫子先生の論文が、Endoscopy International Openにアクセプトとなりました

論文タイトル Search, coagulation, and clipping with the shrink method to minimize ulcer base and prevent delayed bleeding after gastric endoscopic resection
受理日 2025年10月22日
Authors Satoshi Abiko, Yukiko Okada, Kazuki Yamamoto, Yohei Nishikawa, Ippei Tanaka, Haruhiro Inoue and Naoya Sakamoto.
雑誌名 Endoscopy International Open
コメント Search, coagulation, and clipping with the shrink (SCC-S) methodの報告がEndoscopy International Openにacceptされました(https://doi.org/10.1055/a-2734-0575)。

胃内視鏡的粘膜下層剥離術(胃ESD)の後出血を減少させるうえで、凝固とクリッピングを併用する方法 (search, coagulation, and clipping法)は、現在多くの病院で施行されている凝固単独法 (post-ESD coagulation法)よりも有効であることが示されていますが、後出血を完全に防ぐことは出来ていません。そこで、クリッピングの際に大型のシュアクリップを使用することで、粘膜欠損部の面積を縮小できる可能性があり、それによって潰瘍治癒を促進し、後出血予防効果をさらに高めることが期待されるのではないか、と考えました。従来のSCC法で使用されていた止血クリップ(HX-610-135, Olympus Optical)と比較して、シュアクリップは経験的に把持力がより強いことが確認されており、脱落しにくい可能性があります。そのため、後出血の予防効果がより高いのではないか、と考えました。

胃ESD後の後出血を防ぐための閉鎖法はいくつか報告されていますが、全症例で閉鎖を行うことは時間とコストがかかります。胃ESDの後出血に関してのBEST-J研究によると、低リスクおよび中間リスク症例が全体の約90%を占めることから、より簡便で費用対効果の高いSCC-S法は、これらの症例群に対して合理的な選択肢となり得るかもしれません。

このSCC-S methodが、より安全な内視鏡治療の発展に寄与することを願っております。

昭和医科大学江東豊洲病院の井上晴洋教授をはじめ、同病院の先生方、内視鏡・外来・病棟スタッフの皆様、そして国内留学の機会を与えてくださった坂本先生に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
(北海道大学病院 安孫子怜史)