グループ紹介

組織再生幹細胞
研究グループ
Regenerative Medicine

当グループは2012年度に発足し,9年目を迎えました.最も力を入れてやっていることは,羊膜由来の間葉系幹細胞を用いた消化器疾患の再生医療です.

グループメンバー

グループ長

メンバー

  • 実験補助員 付 慶傑
    実験補助員
    付 慶傑
  • 医員・大学院生(4) 小田切 信介
    医員・大学院生(4)
    小田切 信介
  • 医員・大学院生(4) 木脇 佐代子
    医員・大学院生(4)
    木脇 佐代子
  • 医員・大学院生(3) 楊 子建
    医員・大学院生(3)
    楊 子建

研究内容

  1. 羊膜由来間葉系幹細胞を用いた再生医療
  2. 肝臓の線維化抑制を目的とした新規細胞治療の開発
  3. がんの蛍光イメージング
  4. 六君子湯によるがん患者のQOL向上のための臨床研究
  5. がん幹細胞マーカーCD133の発現調節機構の解明
  6. 生体吸収材料を用いた消化管内視鏡治療後合併症に対する新規治療法の開発

グループ紹介

 当グループは2012年度に発足し,9年目を迎えました.

 最も力を入れてやっていることは,羊膜由来の間葉系幹細胞を用いた消化器疾患の再生医療です.これまでに炎症性腸疾患(大西礼造Cell Transplant 2015, 宮本Am J Transl Res 2017),肝硬変(久保Transplant Direct 2015,大原 Front Pharmacol 2018, 大原Stem Cell Int 2018,付Stem Cell Int 2018),胆管炎(杉浦Am J Transl Res 2018),放射線腸炎(大野Cytotherapy 2015),膵炎(川久保Pancreas 2016, 川久保J Gastroenterol 2018),食道ESD後狭窄(水島Gastrointest Endosc 2017),直腸ESD後狭窄(津田Endoscopy 2018)の各動物モデルに対する効果を報告してきました.最近は形成外科など他の教室との共同研究を開始し,2017年には他科の学位取得者も誕生しました(佐藤Plast Reconstr Surg 2018).2020年からは歯学部の大学院生も参加し研究を開始しております.また,羊膜間葉系幹細胞を再生医療等製品として臨床の現場に届けることをめざして,企業と連携して準備を進めております.

 その他,2014年から東大の蛍光イメージングの大家である浦野教授と共同研究を開始し,膵がんのEUS-FNA検体を用いて,東大が開発した蛍光プローブをふりかけて蛍光で検出することの有用性を明らかにしました(川久保Mol Imaging Biol 2016).また,頭頸部がんのESD摘出標本を用いた研究も行い,その有用性が明らかになりました(水島BMC Cancer 2016, 水島Head Neck 2018).さらに,食道胃接合部腺癌に対する有用性を多施設共同研究で明らかにしました(山本桂子BMC Cancer 2020).

 一方,六君子湯がCDDPによる食欲不振を抑えるのかを検討する第II相探索試験を,AMEDの研究費により北大産婦人科とその関連病院の協力を得て実施し,positiveな結果が出たので報告しました(大西俊介J Gynecol Oncol 2017).この結果を踏まえ,引き続きAMEDのサポートを受けて,プラセボを用いた第III相検証試験を全国17施設で開始しました.

 がん幹細胞マーカーCD133の発現調節機構については,多くの薬学部の学生さんに助けていただき,2013年PLoS Oneに発表しましたが,その後も薬学部の学生さんが引き継いで行い,メトホルミンによる発現調節機構を明らかにしました(Neoplasia 2019).
 最近始めた新しい試みとして,肝臓の線維化抑制を目的とした新規細胞治療法の開発と,生体吸収材料を用いた消化管内視鏡治療後合併症に対する新規治療法の開発を行っております.

 以上,当グループはこれまでの8年間に19本の原著論文を発表してまいりました.その多くは研究に参加してくれた大学院の先生方の努力によるものです.研究内容は多岐にわたりますが,今後も臨床に直結した,臨床講座ならではの,臨床に還元できる研究をめざしていきます.

文責:大西 俊介(2020年6月)