炎症性腸疾患グループ

炎症性腸疾患グループは2008年4月に新設され、今年で9年目を迎えました。患者数の増加、疾患の知名度の上昇と共に人気が高まっているのか、グループ希望者が段々と増えてきています。今年度はさらに新しく大学院生として小田切信介先生が入って下さり、充実した体制となりました。

炎症性腸疾患グループ紹介

大西礼造先生は、IBDの臨床のみならず、特に大学院生の研究サポートで多大な貢献を頂きましたが、この度医局を離れることとなりました。柔らかな人当たりで医局秘書、病棟スタッフの心のオアシス的存在だったためとても残念ですが、今後も客員臨床講師として連携、指導を頂くことになっています。
木下賢治先生は、現在グループの中心として、診療、検査から学会発表、新たな臨床研究の発案、データベース整理まで精力的に活動しています。現在大学院卒業に向けて、テーマである潰瘍性大腸炎の超音波診断の論文作成中です。

山梨香菜先生は、下記AMEDの治験の事務局として治験開始に必要なあらゆる業務を行って頂きました。そのおかげで2017年1月からようやく治験が開始されました。出産に伴い現在産休中です。

長島一哲先生は、先端生命科学研究院 綾部時芳教授との下記共同研究を開始し、医学部と北キャンパスを行き来しながら実験を進めているところです。また、免疫チェックポイント阻害薬など色々なものに興味をもち、将来の第一人者と期待されています。

新人の小田切信介先生は、北見赤十字病院から大学院1年目としてIBDグループに入ってきてくれました。2017年4月から3ヶ月間、東京医科歯科大学の渡辺 守教授のもと国内留学し、IBDのメッカで最新の知識を吸収しております。

グループリーダーの桂田は「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(渡辺班改め鈴木班)に研究協力者として参加し、医局を超えた北海道全体の、将来的には全国のIBD診療のまとめ役を目指して日々活動を継続中です。また、2015年度から日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進研究事業に「抗菌薬3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療」が北海道大学病院を代表施設として採択され、研究代表者を務めております。現在治験エントリー中にて、ご興味のある方はこちらのリンクをご覧頂けますと幸いです(http://www.huhp.hokudai.ac.jp/hotnews/files/00000100/00000154/release290111.pdf)。


2013年2月から北海道大学病院消化器内科IBDセミナーと称して、北大式IBD診療のエッセンスについて各関連病院を回って講演させて頂いています。各関連病院の先生方には御礼申し上げると共に、引き続き同門の先生方御支援宜しくお願い致します。患者さん、家族向けのIBD教室も2017年で8回目を行う予定です。桂田自ら潰瘍性大腸炎患者で入院加療を受けた経験を元に、患者、医者の両方の立場から企画、進行を担当させて頂き好評を得ております。

炎症性腸疾患というと主に潰瘍性大腸炎とクローン病を指しますが、両疾患ともに患者数は急激な増加傾向を示しています。我々はこの2疾患を中心に診療を行っておりますが、血球成分除去療法(LCAP、GMA)、抗TNF-α抗体療法(レミケード、ヒュミラ)、免疫調節薬(アザチオプリン、プログラフ)、に加えて、最近は新しい5-ASA製剤(リアルダ)、ステロイド剤(ゼンタコート)、新規抗体製剤(シンポニー、ステラーラ)と、次々と新たな治療の選択肢が増え治療体系も複雑化してきています。若い患者さんが多いのがこれらの疾患の特徴であるため、我々の治療次第で患者さんの人生が変わりうることを意識し、患者さんの病態のみならず社会的背景にも配慮した治療を常に心掛けています。また、多彩な全身合併症も特徴の疾患にて、総合病院として他科との連携を密に取り、専門機関として集学的治療を行えるのが当院のメリットと思います。

今後は関連病院ともさらに連携を深め、北海道全体の炎症性腸疾患診療の普及に努めて参ります。加えて研究機関として臨床の現場で抱いた疑問や展望を基礎医学的な手技を用いて解明し、教育機関として若手医師、学生の育成にも力を注ぎ、グループとしてますます発展していきたいと考えております。

臨床研究・治験

  • 潰瘍性大腸炎に対する超音波検査の有用性の検討
  • 潰瘍性大腸炎患者に対するエグアレンナトリウム注腸投与の有用性の検討
  • 卵膜由来間葉系幹細胞を用いた炎症性腸疾患に対する新規治療法の開発(組織再生幹細胞研究グループとの共同研究)
  • 抗菌薬3剤併用による難治性潰瘍性大腸炎の治療(AMED-17lk0201036h0003)
  • 炎症性腸疾患患者の細胞を用いたエンテロイドの作成(先端生命科学研究院綾部教授との共同研究)

文責:桂田 武彦(2017.5)