内視鏡診断・治療グループ

内視鏡診断・治療グループは光学医療診療部のスタッフ、客員教官(#)、消化器内科の教官、大学院生、大学病院内の消化管に対する内視鏡診療を担っています。

スタッフ

清水勇一、工藤俊彦、中川宗一#、中川 学#、森 康明#、小野尚子、山本桂子、高橋正和#、宮本修一、津田桃子、安孫子怜史、松田可奈、加藤麻倫

グループについて

大学院生と関連病院若手医師を対象にしたESDトレーニングシステムが稼働を始めてから、ESDカンファランスと実技指導(年2回のハンズオンセミナー)によって大学院生のESD技術は上達しており、 大学院卒業時には第一線で十分に活躍できるようになっています。

グループ内では多くの臨床研究が行われていますが、新たな内視鏡に特化したものでは、超拡大内視鏡(endocytoscopy)による食道表在癌診断、頭頸部表在癌診断、十二指腸腫瘍診断、 レーザー光源のBlue LASER Imaging : BLIによる拡大内視鏡診断、新たな色彩強調画像(LCI)によるびまん性発赤診断、食道癌、胃癌の存在診断などの前向き試験が終了あるいは実施中です。

2009年には胃癌予防を目的として、ピロリ菌専門外来を全国にさきがけて開設しましたが、2013年にはヘリコバクターピロリ感染胃炎が保険の適用拡大となって、 現在は三次除菌とペニシリンアレルギー患者を対象に継続しています。

内視鏡検査、処置における抗血栓薬の取り扱いについては2009年に循環器内科、脳神経外科など関連科と共同してコンセンサスを作成し、2010年から北海道内多施設での前向き研究を行い、 2012年には内視鏡学会のガイドラインが改訂されました。現在は新規経口抗凝固剤(NOAC)に対する対応について新たな検討を開始しています。

研究についても内視鏡検査を中心とした研究を行っています。これまで中川宗一先生を皮切りに、小平純一、Perez-Aldana Luis、中川 学、山本純司、 小野尚子、森 康明、早川敏文、小野雄司、鎌田 豪、幡 有、廣田ジョージョ、:新保るり子(歯学)、吉田武史、園田範和、今井亜希、西田 麗、山本桂子、羽田政平、高橋正和、松本美櫻、大森沙織、大野正芳、水島健、宮本秀一の25名の先生が学位を取得しています。 近年の取得者では高橋正和先生はEndoscopic diagnosis of early neoplasia of the esophagus with narrow band imaging: Correlations among background coloration and iodine staining findings.(J Gastroenterol Hepatol. 2014;29:762-8) 、 大森沙織先生はHuman intestinal spirochetosis is significantly associated with sessile serrated adenomas/polyps (Pathol res pract 2014;210:440-3)が、 松本美櫻先生はMulticenter study on hemorrhagic risk of heparin bridging therapy for periendoscopic thromboprophylaxis (BMC Gastroenterol 2015;15:89-97)が論文化されました。この2年間は、内視鏡治療に関連したテーマを大西俊介先生率いる基礎研究グループにて、羊膜由来間葉系幹細胞を用いた実験を行い学位論文にまとめており、大野正芳先生はラット放射線性直腸炎モデル(Cytotherapy 2015)、水島健先生はブタ食道ESD後狭窄モデル(Gastrointest Endosc 2017)、宮本秀一先生はラットTNBS誘発腸炎モデル(Am J Transl Res 2017)に対する有用性に関する研究がそれぞれ学位論文となりました。

現在、大学院生や医員の先生はそれぞれのテーマについて、日常の内視鏡検査や病棟業務を行いつつ、臨床研究を続けています。昨年加わってくれた山本先生はHP除菌後胃癌の拡病理所見の検討、および食道胃接合部癌のESD切除標本を用いた蛍光イメージングの研究に着手しました。 今春、大学院を卒業した宮本先生は、ずっと研究を続けてきたPPI内服後のいわゆるモコモコ胃炎を論文にまとめ(Dig.Endosc 2017)、また、新規酸分泌抑制薬であるボノプラザンを用いた、胃ESD後潰瘍治癒に関する多施設共同前向き試験を行っております。さらに超拡大内視鏡であるEndocytoscopy試作機を用いた十二指腸腫瘍診断の研究を始めています。津田先生は厚労省が持つ電子レセプト(National Database)のメガデータを用いて全国における胃癌治療とH. pylori除菌診療の実態を解析しています。また、生体ブタを用いて、結腸ESD、直腸ESD後の狭窄に関する実験を行っています。安孫子先生は食道癌APC治療の長期成績の解析を行い、現在、局注併用食道APCの有用性を証明する目的で生体ブタを用いた実験を行っています。また、アルコール代謝遺伝子型による食道癌ESD後の異時性癌発症リスクに関する研究を続けており、結果がまとまりつつあります。松田先生はGVHD腸炎の病理所見と拡大内視鏡所見の対比を行っており、今後、Endocytoscopyを用いたGVHD早期診断に関する前向き研究を進めていく予定です。加藤先生は今春、病理の大学院を卒業してグループに加わったばかりで、ESDの技術を習得することを主目的としていますが、病理学的な専門知識を生かした研究を考慮中です。

当グループは昨年、加藤元嗣診療教授と間部克裕講師が国立函館病院に栄転され、その大きな穴を埋められる人材として、工藤俊彦先生、山本桂子先生に新たに仲間に加わってもらいました。新体制として何とか軌道に乗ってきたのではないかと思っています。

文責:清水勇一(2017.5)