化学療法グループ

消化器癌化学療法グループ(化療グループ)は、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、GIST等を主とした消化器癌に対する薬物療法治療・臨床試験の立案・実施による臨床研究を行っている。

スタッフ

前病棟化療グループ長である小松は、北大病院腫瘍センター副センター長・診療教授として、当科のみならず当院全体のがん関連診療業務・がん拠点病院連携・キャンサーボード等の運営、他施設との連携、各種委員会等に広く関わって活動している。引き続き、化療グループ全体をまとめる一方、大学の枠を超え、 地域がん診療グループとしてのHGCSG(Hokkaido Gastrointestinal Cancer Study Group) の活動に続き、緩和医療との融合を狙ったHOME (Hokkaido Team Oncology Meeting)、 支持療法の臨床研究グループであるHOPE(Hokkaido supportive care Oncology Project - an Expert Group)の代表責任者も兼任し、研究予算集めから、新研究の発案・  実施までを統括・管理している。それらの結果を世界に発信するために、国内外の学会での発表・報告させるべく、大学のメンバーのみならず各協力施設メンバーを叱咤激励しながら、  研究・診療グループの代表責任者として活動している。診療担当は、消化器癌全てにわたっているが、GIST患者が多いのが特徴的となっている。

現病棟化療グループ長である消化器内科助教の結城敏志医師は、外来業務はもちろんのこと、治験・各種臨床試験での、各種マネージメントの実務担当責任者を務め、厳しく目を光らせてくれている。教育の面でも、病棟診療におけるグループスタッフ、研修医、学生への指導にも尽力してくれている。 また上述のHGCSGを始めとする各種研究会においても事務局長、研究者としても活動し、各種臨床試験をマネージメントする傍ら、自身も国内外の学会で、積極的に参加し発表してくれている。昨年からは、国立がんセンターを中心に動きだしたBig ProjectであるGI-screenの北海道地区の実務責任者も務めてもらっており、道内の関連協力施設と密接な連絡をとりながら着実に登録を進めてくれている。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に胃癌、大腸癌患者を多く担当している。

中積宏之医師は、腫瘍センター助教として、化学療法外来のみならず、腫瘍センターの教官として、北海道大学病院全体の腫瘍関連業務に幅広く関わってくれており、自身の腫瘍外来も含めて奮闘している。彼のポジションはCancer Boardから市民公開講座まで、センターのあらゆる業務で中心的役割を担わねばならない。それに加え、今年は消化器内科副医局長も拝命したため、教室運営の一翼も担わねばならないので、ぜひがんばって欲しい。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に食道癌患者を多く担当している。

川本医師は、国立がんセンター東病院での国内留学時に得た、様々な知識や経験を生かして、化療外来、消化器内科病棟・化療グループのがん診療をしっかりとマネージメントしてくれている。また腫瘍センターメンバーとして、中積医師と共に各種地域の医療スタッフに対する教育などにも力を注いでくれている。グループの各種研究の整理・とりまとめをしてくれており、治験や臨床試験などグループリサーチのまとめ役を買って出てくれている。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に胆膵癌患者を多く担当している。難治癌である胆膵患者を多数担当しており、大変苦労している。

村中徹人医師は、大学院医員として当Gに所属し、早いもので、今年は大学院4年目を迎えることとなり、自身の研究もふくめて日夜がんばっている。現在では、グループの各種研究プロトコールの作成のみならず、予算取得段階から関わり、臨床腫瘍研究の難しさを肌で感じてくれていると思われる。グループで多用されている、化療に必要な皮下埋没型ポートの埋め込み業務を一手に引き受け、今やその腕もかなりのものとなってきた。学会発表も積極的にこなしている。英文論文も、症例報告からグループ症例のまとめまで、積極的に書いてくれている。今年は学位研究も纏めねばならず忙しいが、がんばってもらいたい。

八木澤允貴医師は、北大医学部を卒業し,釧路労災病院で初期研修を行った後, 引き続き釧路労災病院の前化療グループメンバーの曽我部先生の元で臨床腫瘍学を含む総合内科を研修し,さらに北見赤十字病院で同じく前化療グループメンバーの岩永先生の元で消化器癌の化学療法を学び,さらなる最先端の癌化学療法を修練すべく大学の化療グループを希望し消化器内科大学院 に入学した。今後は国内外の留学も視野に入れ,より一層の研鑽を積み,将来の北海道の消化器癌化学療法を担うべく、現在は北大病院の化療グループ入院患者を中心に診療を行っている。また,北大医学部野球部出身であり,昨年度は医局対抗野球大会で準優勝を飾った先発メンバーでもあり,今年度からは医局野球の幹事役も務めている。さらに、グループの宴会幹事なども率先して引き受けてくれており、これからの活躍を期待されている。

昨年は原田先生が大学院を修了し、めでたく学位を取得した。いったん無事化療グループを卒業し、腫瘍内科副部長として釧路労災病院に赴任した。国立がんセンター東病院への国内留学、北大病院で経験した、消化器癌治療への豊富な経験を生かして、新天地で力を発揮してくれるものと期待している。

一昨年度、当グループから国立がんセンター東病院に国内留学中の澤田医師は、今年度から外来を任せられるようになったと、指導教官である吉野消化管内科科長より連絡を頂いた。国内最高水準病院の外来を担当する経験と、学位研究の経験を経て、来年は一回り成長して帰局してくれると期待している。

腫瘍センター・化療部部長秘書として着任した永井さんも、四年目を迎え、すっかりとグループの仕事やメンバーの御世話などにも慣れ、あらゆる業務をテキパキとこなしてくれており、現在はすでに無くてならないスタッフに成長してくれている。その他の仲間としてHGCSGスタッフとして関口、朝田さんを迎え、データマネージメント業務を担当してくれている。

グループの業務

当グループでは、引き続き食道・胃・大腸癌、胆嚢癌、膵癌、GIST等、消化器の悪性疾患に対する薬物療法を中心としたがん診療・研究を行っている。各種臨床試験・治験治療はもちろんのこと、治療難渋例についても、消化管キャンサーボードにおいて、放射線科、外科、病理、など、他グループとの連携を密にし、 多職種で相談した上で患者さんに最良の治療を提供できるよう、集学的治療を含めた最新の標準治療・治験治療等を行っている。

食道癌については、切除可能食道癌に対する術前化学療法の実施が多く、化学放射線併用  療法(CRT)については、病期I、II、IIIにおけるオプションとして、 また切除不能局所進行   症例に対しての第一選択として、根治を目的として行っている。研究としては、JCOG食道グループのメンバーとして、JCOG臨床試験に参加し活動している。最近では、免疫チェックポイント阻害剤の食道領域への開発が世界的に進んでおり、当Gもそれに参加しており最先端食道癌治療の新薬開発に携わっている。

胃癌については、1~3次の治療ラインにおいて、独自の臨床試験や複数の治験が存在しており、それらをマネージメント・参加をし、最新の進行胃癌診療を実践している。Global Study RAINBOW試験に参加し、久しぶりの胃癌2次治療での新抗体薬Ramucirumab(Ram)の開発に 貢献してきた。現在では、1次治療への適応拡大のためのRAISTORM試験、3次治療のRindberg試験に参加協力するのみならず、当Gオリジナルの胃癌2次治療におけるIrinotecanとRamの併用療法を企画中であり、面白いデータを報告できると考えている。免疫チェックポイント  阻害薬や、新規経口TKIであるapatinibの新薬治験も沢山参加しており、画期的な最新の抗腫瘍薬開発に積極的に関わっている。 その他、強力な1次治療の開発として、胃癌において有力な殺細胞性抗がん剤の3剤併用療法の開発のためのSNOWstudyが開始されている。日常診療と  臨床試験をうまく絡めて、胃癌患者さんに最新、最適の治療を提供するように心がけている。

今年度の大腸癌領域については、我々も参加したTricolore studyの結果が報告される年と  なった。Tricolore study は、我々HGCSGグループでPhase Iから開発を開始し、順に試験を重ね、第三相試験にまで持ち込んだIRIS+Bevacizumab療法のRPIIIである。JSMOにて世界最初の  報告をし、論文化を狙う予定であるが、すでにJSMOではPlenary演題に選出されており、抄録レベルでは試験のMetを公表済みであり、将来の標準治療の一つに推奨される可能性は高い。従って、これもまた標準的治療を開発するという当Gの目的達成を成し、ガイドラインに掲載されるようになるものと思われる。

胆膵領域においては、膵癌で当GオリジナルのP-IRIS療法のRPII試験の結果が報告された。HGCSGにおいて開発の始まったIRISが膵癌にも効果が期待できる事が示され、BJCに掲載となった。そこで、PIRISの発展版であるOXIRISのPhase I/II試験が始まっており、その終了が  期待されるところである。その他膵癌だけでなく、胆道癌でも、新薬治験を多数引き受けるようになり、この領域でも、他施設をリードしていく立場を目指したいと考えている。

手技の経験・教育としては、当Gにおいて、化学療法や栄養療法の実践のために、必須の   手技である、中心静脈ポート造設を多数実施しているため、外科、放射線科などの専門科での研修をせずとも、当グループにおいて、早期にリザバー留置法を研修し、術者となることが可能となっている。
当Gが大きく関わるHOPEグループで実施したRPIIIであるHOPE-1試験の結果をCancer Science誌にacceptさせた事を、以前の年報で報告した。結果、制吐ににおける2日目からのステロイドの減量がOKであることが、当Study論文により報告され、これも制吐剤ガイドラインをかえることとなり、また一つグループの目標を達成しえたこととなった。

グループの理念

これも毎年変わる事は無いが、癌化学療法・薬物療法を専門とするGIオンコロジストを育成し、北海道全体にトップクラスの適切な標準的癌化学療法を普及させることである。また、がんの標準レジメン、新しい支持療法などの開発に関わり、北海道から全国に、そして世界に向けて、オリジナルのエビデンスを発信し、その実践により社会に貢献することである。

最後に

当グループは、国立がん研究センター東病院、中央病院、各種がん関連施設など、癌治療における第一線の施設との交流が深く、人的交流、会議・勉強会からの還元や、国際学会への積極的な参加等で、 常に最新の情報を得る事が可能である。もちろん、上記の施設へレジデントとして国内留学をすることも可能である。今年は上述したように東病院へ国内留学していた原田医師が釧路労災に赴任し、当G卒業生の曽我部医師が、釧路労災から拠点病院のKKR札幌病院に異動となったため、札幌の新しい施設において最新消化器癌治療の推進役の1人として活躍してくれることを期待している。グループ卒業後も、変わること無く、真のoncologistをめざし、大学メンバーと、卒業メンバーが切磋琢磨しながら、最新がん診療を進める事ができることが、当Gの楽しみであり、強みであると考えている。
当グループを 中心としたHGCSG、HOPE、HOMEには、当科関連施設はもちろん、全国の  協力施設も含めた多数の施設が参加しており、多施設共同の臨床試験を行っている。 また、定期的な meetingや講演会を通じ、当グループの得た最新の情報を共有することで、関連施設全体の癌治療を高いレベルに維持する一助となることを目標としている。 さらに、上述の如く、  自グループの臨床試験結果が、複数の国際学会、国内学会において報告され、ガイドラインを変えるような結果を世に出すなど、極めて高度なレベルにあることは間違い無いものと思わ れる。また、当化療グループの大きな特徴として、多くの新薬治験や臨床試験への参加を積極的に実施しており、それらに参加することで、標準治療のみならず、 治験治療をも一つの戦略・新治療として患者さんの治療計画に組み込んだ、最新の医療計画が実施可能となっており、メンバーへの豊富な経験の蓄積のみならず患者さん自身にも貢献できているものと考えている。

癌化学療法グループは、癌治療のスペシャリスト、GI Oncologistを目指す皆さんの参加を心よりお待ちしております。