化学療法グループ

消化器癌化学療法グループ(化療グループ)は、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、GIST等を主とした消化器癌に対する薬物療法治療・臨床試験の立案・実施による臨床研究を行っている。

スタッフ

前病棟化療グループ長である小松は、北大病院腫瘍センター・化学療法部部長・診療教授として当科のみならず当院全体のがん関連診療業務・がん拠点病院連携・キャンサーボード等の運営、他施設との連携、各種委員会等に広く関わって活動している。今期からはがん診療拠点病院見直しに対応すべく新規キャンサーボード部部長も兼任となった。引き続き、化療グループ全体をまとめる一方、地域がん診療グループとしてのHGCSG(Hokkaido Gastrointestinal Cancer Study Group) の活動に続き、緩和医療との融合を狙ったHOME (Hokkaido Team Oncology Meeting)、 支持療法の臨床研究グループであるHOPE(Hokkaido supportive care Oncology Project - an Expert Group)の代表責任者も兼任し、研究予算集めから新研究の発案・実施までを統括・管理している。昨年は、グループで長年治療開発を進めてきたIRIS+BV療法がマドリードで開催されたESMO2018本会議にてproffered papersに選出されOral presentationの機会が得られた。本治療はESMOガイドラインにも記載されており、当Gで世界標準治療を作るという目標を達成し得た。診療担当は、消化器癌全てにわたっているが、GIST患者が多いのが特徴的となっている。

現病棟化療グループ長である消化器内科助教の結城敏志医師は、外来業務はもちろんのこと、治験・各種臨床試験での、各種マネージメントの実務担当責任者を務め、厳しく目を光らせてくれている。教育の面でも、病棟診療におけるグループスタッフ、研修医、学生への指導にも尽力してくれている。 また上述のHGCSGを始めとする各種研究会においても事務局長、研究者としても活動し、各種臨床試験をマネージメントする傍ら、自身も国内外の学会で、積極的に参加し発表している。現在、国立がんセンターを中心に動きだしたBig ProjectであるGI-screenの北海道地区の実務責任者やU-Kit projectの事務局も兼務しており、忙しい日々を送るとともに道内の関連協力施設と密接な連絡をとりながら着実に登録を進めてくれている。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に胃癌、大腸癌患者を多く担当している。

中積宏之医師は、腫瘍センター助教として、化学療法外来のみならず、腫瘍センターの教官として、北海道大学病院全体の腫瘍関連業務に幅広く関わってくれており、自身の腫瘍外来や治療センターマネージメント管理をしている。彼の業務はCancer Boardから市民公開講座まで、センターのあらゆる業務で中心的役割を担わねばならない。それに加え、昨年からは消化器内科副医局長も兼任している。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に食道癌患者を多く担当している。

川本泰之医師は、国立がんセンター東病院での国内留学時に得た様々な知識や経験を生かして、化療外来、消化器内科病棟・化療グループのがん診療をしっかりとマネージメントしてくれている。本年度より、消化器内科特任助教を拝命し、腫瘍センターメンバーとして、中積医師と共に各種地域の医療スタッフに対する教育などにも力を注ぐとともに、スタッフ教官として、研修医、学生の教育までも兼務する立場となった。グループの各種研究の整理・とりまとめをしてくれており、治験や臨床試験などグループリサーチのまとめ役をしてくれている。診療担当は、消化器癌全てであるが、主に胆膵癌患者を多く担当している。難治癌である胆膵患者を多数担当しており日々奮闘している。

村中徹人医師は、大学院医員として当Gに所属しがんばってくれていたが、臨床研究データが期日までにそろわず卒業延期となった。各種病棟業務をやりながらの事であり、名誉の留年とも言える。しかし、何とかデータをまとめ本年中には論文投稿し学位を取得の予定である。 現在では、グループの各種研究プロトコールの作成のみならず、予算取得段階から関わり臨床腫瘍研究の難しさを肌で感じてくれている。卒業論文は遅れたが、他の臨床論文は次々に仕上げてくれているので、ぜひ卒論もがんばって無事卒業して頂きたい。

澤田憲太郎医師は、この2年間、国立がんセンター東病院への国内留学を終え、4月よりグループに復帰してくれた。留学中の評判もたいへん良く、スタッフからも信頼され、在任中に任せられた大腸癌Her2遺伝子研究ではその中心的役割を果たし、その結果もすでに纏めて投稿し、先日Clin Colorectal Cancer誌に受理されたので、後は学位発表を待つだけとなっている。この研究を生かした先進治験などにも積極的に参加し有意義な発言をしてくれている。現在、グループでは臨床~教育まで幅広い活躍をしてくれている。留学で得た知識、経験をグループの皆に伝えてもらえるものと期待している。

中野真太郎先生は、2013年3月に北大を卒業。その後臨床研修に入り当科入局し、2017年より前勤務の岩見沢市立病院でのスタッフドクターとしての経験を生かし、本年4月より大学院生医員として化療Gメンバーへ復帰となった。中野医師は学生時より消化器癌化学療法に興味を示し、最初から当Gへの所属を表明してくれており、学生時に現化療Gスタッフのみが来ているメンバー白衣を渡された稀少な存在である。自身の研究テーマも自ら積極的に考えており、複数のテーマについて研究を任せてがんばってもらう予定である。

昨年まで、病棟で頑張ってくれていた大学院3年目の八木澤医師は、本年4月より国立がんセンター東病院へ国内留学し、諸先輩に負けないような仕事をすべく、すでに活動を開始してくれている。


腫瘍センター・化療部部長秘書として着任した永井さんも、5年目を迎え、すでに若くしてグループの仕事やメンバーの御世話の中心的役割を担っておりあらゆる業務をテキパキとこなしてくれている。現在はすでに、無くてはならない存在となっている。

その他の仲間としてはHGCSGスタッフとして引き続きがんばってくれている関口さんに加えて、井内さん、渡邊さんを新たに迎え、データセンター業務を担当してくれている。

グループの業務

当グループでは、引き続き食道・胃・大腸癌、胆嚢癌、膵癌、GIST等、消化器の悪性疾患に対する薬物療法を中心としたがん診療・研究を行っている。各種臨床試験・治験治療はもちろんのこと、治療難渋例についても、消化管キャンサーボードにおいて、放射線科、外科、病理、など、他科スタッフとの連携を密にし、多職種で相談した上で、患者さんに最良の治療を 提供できるよう、集学的治療を含めた最新の標準治療・治験治療等を行っている。

食道癌については、切除可能食道癌に対する術前化学療法の実施が多く、化学放射線併用  療法(CRT)については、病期I、II、IIIにおけるオプションとして、 また切除不能局所進行   症例に対しての第一選択として根治を目的に行っています。研究としては、JCOG食道グループのメンバーとしてJCOG臨床試験に参加するのみならず、免疫チェックポイント阻害剤の食道領域への開発にも参加しており、最先端食道癌治療の新薬開発に携わっている。ただし、最近の症例数不足には頭を抱えている。

胃癌については、1~3次の治療ラインにおいて、独自の臨床試験や複数の治験が存在しており、それらのマネージメント・参加をし、最新の進行胃癌診療を実践している。新標準治療への関わりとしてはGlobal Study RAINBOW試験に参加し、世界標準治療の開発にも貢献できた。現在では新1st lineの開発を目指した当GオリジナルのSNOW試験や、胃癌2次治療におけるIrinotecanとRamの併用療法を実施中であり、近い将来に報告できると考えている。免疫チェックポイント阻害薬等の新薬治験にも沢山参加しており、最新の抗腫瘍薬開発に積極的に関わっている。日頃より、日常診療と臨床試験をうまく絡めて、胃癌患者さんに最新、最適の治療を提供するように心がけている。ただし、胃癌症例に関しても、症例集積に苦慮しており様々な社会的問題の解決も同時に必要な状況である。

大腸癌領域については、Tricolore studyの結果が出て、幸運なことにESMO(欧州臨床腫瘍学会)本会議での発表機会を得ることができ、グループ代表として小松が発表させて頂いた。Tricolore study は、我々HGCSGグループでPhase Iから開発を開始し、順に試験を重ねて第三相試験にまで持ち込んだIRI+S-1+Bevacizumab療法(IRIS+BV)のRPIIIである。結果はpositiveであり、ESMO発表後は、ESMO Asian guidelineにも正式に掲載され、正式に世界標準治療となった。国内でも大腸癌研究会のweb速報にも本邦における大腸癌1次治療として推奨された。上述の如く標準的治療開発という当Gの目的達成ができ大変光栄なこととなった。その他も、世界で話題となる各種臨床試験、治験にも積極的に関わっており、世界トップレベルの診療を実線できていると自負している。

胆膵領域においては、JCOG胆膵Gやその他のactive memberとして参加しており、積極的に活動している。膵癌では当GオリジナルOXIRISのPhase I/II試験が始まっており、現在実施中である。その他、膵癌だけでなく、胆道癌でも、新薬治験を多数引き受けるようになり、この領域でも、他施設をリードしていく立場を目指したいと考えている。

手技の経験・教育としては、当Gにおいて化学療法や栄養療法の実践のために必須の   手技である中心静脈ポート造設を多数実施しているため、外科、放射線科などの専門科での研修をせずとも、当グループにおいて、早期にリザバー留置法を研修し、術者となることが  可能となっている。また、積極的に各種学会での発表などにも参加してもらっており、国際学会の経験も必ずできるようなシステムになっている。

グループの理念

これも毎年変わる事は無いが、癌化学療法・薬物療法を専門とするGIオンコロジストを多数育成し、北海道全体にトップクラスのスタッフを当Gより輩出し、各施設にて世界レベルの適切な標準的癌化学療法を実施できるように全道施設のレベルを底上げすることである。また、がんの標準レジメン、新しい支持療法などの開発に関わり、北海道から全国に、そして世界に向けて、オリジナルのエビデンスを発信し、その実践により社会に貢献することである。

最後に

当グループは、国立がん研究センター東病院、中央病院、各種がん関連施設など、癌治療における第一線の施設との交流が深く、人的交流、会議・勉強会からの還元や、国際学会への積極的な参加等で常に最新の情報を得る事が可能である。もちろん、上記の施設へレジデントとして国内留学をすることも可能である。最近では上述のTricolore研究にてIRIS+BVを世界標準治療にまで押し上げることに成功しガイドラインを書き換えるということを達成し得た事は上述した。それ以外にも、HOPE1試験にて制吐剤ガイドラインを変え、HERBIS1試験にて、OGSGなどとのintergroup研究も成し遂げ、SP+Herceptinという胃癌1次治療のオプション開発も報告し、胃癌ガイドラインにも関わる事ができた。当 グループの特徴として、卒業後も変わること無く、真のoncologistをめざし大学メンバーと卒業メンバーが切磋琢磨しながら、最新がん診療を進める事ができることが、当Gの楽しみであり強みであると考えている。

当グループを 中心としたHGCSG、HOPE、HOMEには、当科関連施設はもちろん、全国の協力施設も含めた多数の施設が参加しており、多施設共同の臨床試験を行っている。 また、定期的な meetingや講演会を通じ、当グループの得た最新の情報を共有することで関連施設全体の癌治療を高いレベルに維持する一助となることを目標としている。 最近では、北海道という広大な土地でのメンバーの意思疎通を密にするために、独自のweb 会議システムを導入し、さらなる標準的治療開発を進めるべく動き出している。

上述の如く、当Gは、自グループの臨床試験結果が複数の国際学会、国内学会において報告され、ガイドラインを変えるような結果を世に出すなど極めて高度なレベルにあることは 間違い無いものと思われる。また、当化療グループの大きな特徴として多くの新薬治験や臨床試験への参加を積極的に実践しており、それらに参加することで、標準治療のみならず、治験治療をも一つの戦略・新治療として患者さんの治療計画に組み込んだ、最新の医療計画が実施可能となっており、メンバーへの豊富な経験の蓄積のみならず患者さんにも貢献できているものと考えている。

上記の如くですが、癌化学療法グループは、癌治療のスペシャリスト、GI Oncologistを目指す皆さんの参加を心よりお待ちしております。

文責:小松 嘉人(2018.7)